「白磁/字紋のやきもの」 

[ 写真をクリックされれば、拡大してご覧になれます。]

透明感のある上品な白さが魅力の白磁は、珪酸とアルミニウムを主

成分とする白色の粘土の素地に、鉄分のない植物灰と高陵石から

精製された透明釉薬を掛け、高温の還元炎で焼き上げて作る磁器

と言われています。食器に用いれば、和洋中どの料理にも馴染み、

とても使い勝手の良い器になり、毎日の食卓をお洒落に演出してく

れることでしょう。蒐集出来た"白磁のやきもの"は 数少ないので、

白地が多く、興味深い 『字紋のやきもの』 と一緒に掲載しました。


字紋と言えば、中国では古来より、文字を装飾化して文様に用いる

文化が盛んでした。欧米各地では、ギリシャ神話や聖書に因む言葉

を文様風に書き込んだ陶器類が見受けられます。和食器では、圧

倒的に "福/寿/吉/宝" 等の、吉祥文字が描かれたものが多い。








[兎形の香炉と香合]

一見、兎の親子と思ってしまうような、相似形の白磁の香炉と香

合です。微かに青味を帯びた白磁で作られた兎は、福与かで気

品に満ちています。両方とも、足部で分割される構造ですが、香

炉の香気の出口は耳になっていて、製陶技術の高さに魅了され

ます。香炉の体長、幅、高さは、16cm、11cm、12cmで、香

合の体長と高さは9cmと5.5cmです。 レアな作品だけに、ネ

ットオークションは過熱して、やっとの思いで蒐集出来ました。
[3A-12 & 3B-7=2009.5,2016.7]






[染付魚抓みのカップ]

魚の形の取っ手(抓み)と内壁面が淡い染濃で、外表面は白地な

ので清涼感溢れるカップです。口径6cm、高さ9cmと小振りなが

らも気品があって、夏季のソフトドリンク用器として、大いに活躍す

る事でしょう。このカップも、ネットオ−クションで蒐集出来ました。
[7W-1A=2012.2]





[独楽2色紋の蓋物]

上・側面共に、金線を介して心を鎮める染付と錆釉の独楽の

ような絵模様により、白磁の美しさが際立っている作品であ

るが故に、このペ−ジに掲載しました。口径:8.5cm、全高

:8.5cm の大きさの洗練された形状は、この上もなく優雅

で、湯呑、茶碗蒸し、惣菜の盛付鉢 等々、使い勝手の好い

蓋物です。ネットオ−クションで、どうにか蒐集出来ました。
[7C-58=2019.6]





[木目模様の長方平皿]

白磁独特の木目模様が、実に美しい。長さ21cm、幅18cm、L字型

の四足が付いていて 全高が1.5cm ある、平らな大皿です。撮影技

術が未熟で、この優美な皿の魅力を引き出せないのが、とても残念で

す。高級料亭で使われていたようでしたが、ネットオ−クションに出品

されて、人気を集めました。何とか凌いで、幸運にも 蒐集出来ました。

なお、源右ェ門銘は、底面に小さく彫られていて、読み取りにくいです。
[7B-46=2016.10]





[九州大学医学部建物]

九州大学医学部で何かのお祝いがあった時の記念品なのでしょ

うか・・? 超稀少品として、ネットオ−クションで蒐集出来ました。

作品の背後に、"九州大学医学部外科学第一講座 建物/昭和二

年建立"と染筆書きされています。中央棟が4階建ての白亜の殿

堂が、高さ11.3cm、幅12.3cm、奥行き13cmの大きさに縮

小されていて、口径7cm角の空洞を有する重厚で堅牢な作品で

す。六代源右衛門さんは、昭和2年生まれで 大偉業を成し遂げ

られた後に、平成元年11月、九州大学附属病院でご逝去され

ました。それ故、この作品には不思議な因縁を感じています。

机上に置いて、筆記具や事務用品の保管に、活用しています。
[4D-2=2014.6]

後日見つけた共箱の表題は、「白磁 記念舎 筆立て」でした。

(株)大林組公式サイト http://www.obayashi.co.jp によれ

ば、2006年から改修工事が実施された馬出総合研究所(旧

医学部基礎A棟)の外観が、類似しているように思われます。





[陰刻魚草花紋の蓋物]

蓋の抓み部や内壁面に施されている、上釉の淡いライトブル−が

実に美しい。全面に、精緻な魚草花紋が陰刻されていて、中国の

宋時代の定窯の白磁刻花唐草文碗に思いを馳せるような品格を

備えています。手頃な大きさ(外径:15.3cm、全高:7cm)は好

ましく、源右衛門窯の果敢な挑戦を見てとれる、貴重な作品だと

思います。熾烈なネットオ−クションを凌いで、蒐集出来ました。
[7C-46=2016.10]

定窯の白磁に関連する興味深い記事:源右衛門窯HPの

<中国・白磁の旅> を、ご参考にして戴ければ 幸いです。











[7勺徳利と切削加工の湯呑]

白磁の7勺徳利と外側面を切削手加工した蕎麦湯呑です。徳利は、

白磁だけにとても清潔感に富み、全高13cm、胴径6cm、掌にすっ

ぽり収まり、使い勝手の良い形状です。湯呑は、成型乾燥後に外側

面を彫塑べらでダイナミックに削って焼成されていて、深い趣があ

ります。口径8cm、全高8.5cmで、口辺の染付繋ぎ紋も麗しい。

どちらも底面に、染付の源右衛門銘が、滑らかに筆書きされていま

す。何れも、競合者不在のネットオ−クションで蒐集出来ました。
[6A-29 & 9B-78=2012.11、2023.7]











[<源>銘・還兎盃]

染付で<源>の一文字が、共箱の銘と同じ書体で、高台の内面に

書かれています。金彩に彫られた兎絵、磁胎の仕上り、共箱の書

面、全てに亘って、とても優しさが溢れるやきものです。「還兎」と

は、兎年生まれの六代源右衛門さんが、めでたくも還暦を迎えら

れた昭和62年に、制作された作品の意味合いがあると、思われ

ます。円熟期に入られた源右衛門さんの優美な作風を、身近に

感ずることが出来る佳品です。なだらかに拡がりを見せる口部、

口径:7.2cm、高さ:4.6cm のバランスの取れた形状にも魅

かれます。 源右衛門さんが、同郷・同い年で 東京在住のご親

友に、還暦祝いとして贈呈された作品のようです。後になって、

譲渡下さった ご家族の方から、いきさつを教えて戴きました。
[6B-65=2019.11]










[染付寶字文の花入]

最大径10.5cm、高さ16.5cm、側面に「寶」の文字が、整然と

染付で筆書きされている、清潔感溢れる花瓶です。ちょっぴり青味

かかった磁胎、10に分割された側面、底部に向かって細くなる形

状、全てにわたって洗練された造形に、心底魅了される花入です。

文献1 には、源右衛門さんが静かなアトリエで、大皿に般若心経

を書き込まれている写真が掲載されていますが、この花入も同様

な工程を経て完成されたものと思います。共箱に裏書されている

丁卯は、還暦を迎えられた 昭和62年の作品を意味していると考

えられます。厳しいネットオ−クションで、何とか落札出来ました。
[5A-22=2006.8]





[寅字文のぐい呑]

源右衛門窯では、毎年 干支に関した置物、陶額、飾り皿、紺朱ぐい呑

などの作品を創作販売されています。このぐい呑も、1974年の干支

作品の1つです。口径:5.7cm、全高:4.6cmで、酒盃2 の紺朱ぐ

い呑よりひと回り大きい相似形状です。早い者勝ちのネットオ−クシ

ョンの締切間際に見つけ、即刻入札して、コレクションに加えました。

なお、大きい寅の字は染付、小さい寅の字は錆釉で書かれています。
[6C-3=2016.2]





[扁平な花瓶]

口径3cm、幅10cm、奥行き5cm、高さ15cm の寸法廻りで、胴

の中央部が緩やかに膨らんだ扁平な花瓶です。淡い染により見事

な筆捌きで書かれている"風花雪月"は、Goo辞書によれば、四季

折々の自然の美しい景色、それを見ながら、詩や歌を作ったりする

風流なさまとのことです。反対側は、藍白反転で同じ書体が力強く

書かれていて、興味深い趣向の作品です。ネットオ−クションで見

付けて、即刻応札しました。大勢で競い、何とか蒐集出来ました。
[5A-24=2007.8]





[俳句文の湯呑]

"みのの露 雷雨の過ぎて 田植えかな" 作者の名前は達筆

すぎて、?之助としか読めません。田植えは6月、雷雨は7月

の季語だと思われ、気になりますが・・・!? また、平成15年発

刊の『人・器・商い』(有田陶器市・陶磁器品評会100回への

あゆみ)によれば、有田は俳句が盛んとのこと等々、色々な

ことが考えられて、楽しい器です。雨にしっとりと濡れた柳の

葉が、趣深く 描かれているのも好ましい。口辺は、しっかり

錆釉で縁取られていて、気品を高めています。ネットオ−ク

ションに、一品限定で出品されて、直ちに対処致しました。
[9B-56=2015.12]





[三吉/水神文の重ね蓋物]

外径6cm、全高5.5cmの二段重ねの小さな蓋物で、用途は珍味

入れでしょう。真白な蓋の上面と全側面には、渋い染付で 太字の

"三吉"と細字の"水神"の文字が、散りばめられています。これら

の文字が何を表しているのか判りませんが、高級割烹旅館や名

料亭の名称に、因んでいるのかも知れません。ネットオ−クション

では、珍品扱いで人気がありましたが、運良く 入手出来ました。
[7C-53=2017.12]







[いろは文の湯呑]

"いろはにほへとち"の8つの平仮名が、胴体全周に藍白反転で

浮き出されている湯呑です。胴径 8cm、全高 7cmの大きさは、

掌に乗せると程良く馴染み、ほっと安堵出来る風情があって、心

が和みます。発色が良く深みのある染付と、真白な磁胎との優美

なコントラストに魅了されて、ネットオ−クションで蒐集しました。
[9B-33=2010.10]





[紺朱・雪/月/花 字紋の平皿]

割烹料理店で、お通し(またはつき出し)用のうつわとして使われ

ていたと思われる、長さ:15cm、幅:6.5cm、全高:1.5cm、

深さ:3mmの紺朱・雪/月/花 字紋の平皿です。三つに等区分さ

れた見込みには、雪=行書、月=草書、花=楷書の字紋が優美

に書かれていて、とても粋な作りに深い情緒を感じます。幸運に

もネットショップで、この希少作品を見出して、即刻購入しました。
[6B-186=2022.2]

雪と月と花。四季の自然美の代表的なものとしての冬の雪、秋の月、

春の花。四季おりおりの風雅な眺め。  デジタル大辞泉 より抜粋。






[徳利と盃・寶文字面取]

初期伊万里風染付寶文字面取の徳利とぐい呑みです。両方共、ロク

ロで成形した生地を、伝統工法で削って現代的な形状に仕上げ、吉

祥文字の「寶」が、染付けで闊達に書かれています。また、銘は筆書

きではなく、高台内に"源"の一文字が彫られています。現代化の際

に、適当に小さくされたと言われていますが、徳利の高さは17cm近

くもあり、ぐい呑み共々大振りで、質感が素晴らしい。文献2,文献3

や、源右衛門窯HPの <酒席揃> にも 掲載されています。思いがけ

ず インターネット オークションに出品され、彫り銘であったため、飛び

付いて応札し、厳しい競争を凌いで 入手出来て、真に 幸運でした。
[6A-9,6C-7=2003.8]










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