「源右衛門唐津窯」 

[ 写真をクリックされれば、拡大してご覧になれます。]
[ 陶器と見紛う作風の粗磁器も併せて掲載致しました。]



世界でも屈指の磁器作品と言っても過言ではない、源右衛門窯のやきものを蒐

集している間に、時折、源右衛門唐津窯の陶器がネットオークションに出品され

ることに気がついた。箱書きや作品の底部や側部に彫られている銘「源」・「ゲ」

により判別出来る。 磁器については、有田三 ( 柿、今、源 )右衛門さんの作品

を中心にして、その優雅な美しさを愛でる観賞眼を磨いてきたと自負している。



しかし、陶器となると、元来がさつな性格だけに 侘び寂びの世界に疎く、その

幽玄な価値観になかなか馴染めない。ただ、源右衛門唐津窯の作品の力強さ

には、六代・館林源右衛門さんのエネルギッシュな精気すら 感じるのである。



ところが、源右衛窯の文献資料([ 文献1〜3 ]など)や [オフィシャルサイト ]

にも、この唐津窯に関わる記事が全く掲載されてなく、不思議に思っていまし

た。そこで入手出来た「作品」、「箱書き」、「唐津窯の由来書」の画像を添付

して、厚かましくも 源右衛門窯・窯元さんに質問メールを送付させて戴いた。




[源右衛門唐津窯由来]



間髪を入れず、「源右衛門・唐津窯」は、昭和40年代前半に数年間のみの

活動であったため、源右衛門窯の資料やウェブサイトでは公開されてないと

のご回答を戴きました。また、提示させて戴いた作品は、間違いなく源右衛

門窯の作品であると、確証して下さいました。心温もる ご返信メールには、

窯元の皆さんに懐かしんで戴けたと添え書きがあって、誠に感激しました。



因みに、由来書に記述されている場所を、地図検索してみました。伊万里〜

唐津間の山間地で、時代を考えれば、真に長閑な窯場だったと思われます。



唐津焼の第一人者・十三代中里太郎右衛門さんが、[ 文献1 「館林源右衛

門作品抄」 ]
に「有田の源右衛門」を寄稿されていますが、六代・源右衛門

さんの祖先について、真に興味深く鋭い推論をされています。また、彼の作

陶を真剣に見学されている六代・源右衛門さんの姿が掲載されています。
十三代中里太郎右衛門さんについては、うまか陶 さんを、ご参照下さい。







[唐津寄・各種様式の湯呑][最新]

各種(絵、朝鮮、黄、黒、斑)唐津様式の湯呑が、各1個ずつ寄せ

集められていて、一目で各々の特徴が分る作品です。画像の上段の

左・絵唐津、右・朝鮮唐津、下段の左・黄唐津、中央・斑唐津、右

・黒唐津です。各様式に添った容姿に、陶芸職人さんの手業を感じ

て好ましく、全高7cm、口径6cm、やや小振りですが気品があり

ます。高台脇には、「源」銘が彫られています。幸運にも、締め切

り間際のネットオ−クションで見つけて、何とか蒐集出来ました。
[K-12〜16=2024.3]






[絵唐津・草花紋の茶器]

唐津特有のしっとり落ち着いた茶褐色釉面に、錆釉の草花紋が滑ら

かに描かれている、やや小ぶりな宝瓶(口径:約9.5cm、蓋を含む

全高:7.5cm)と湯呑のセットです。うつわの口辺は、錆釉で縁取ら

れていて、気品があります。宝瓶は取っ手が無いので、微妙な湯温

を掌で感じて、お茶の旨味をゆっくりと引き出して、美味しく飲むこと

が出来ます。何とか ネットオ−クションを凌いで、蒐集出来ました。

なお、「お茶のうつわ」 の赤濃草花紋の宝瓶揃えも、ご参照下さい。
[K-9=2020.6]

宝瓶とは、玉露、かぶせ茶、手揉み茶などの高級茶葉を低温で

淹れるのに適した、取っ手の無い急須です。丁寧にお茶を淹れ

る急須の一つとして、日本人の繊細な心遣いを感じる茶道具と

して、お茶を愛する多くの方々に、現代も重用されています。





[絵唐津・樹木紋徳利]

枯れた筆捌きで、唐津特有の茶褐色釉面に、錆釉の樹木紋が描か

れている、これぞ”ザ・絵唐津”と唸りたくなる一合徳利です。ビール

一辺倒の小生でも、冬になったら 熱燗で一献 嗜みたくなるような

雰囲気は、磁器には無い強みになっています。全高は11,5cm、

轆轤目が残る胴部径は 8cm、妙味ある注ぎ口の造形と錆釉は、

更に 魅惑的な逸品に仕立てて、花生けとしても 真に素晴らしい。
[K-2=2015.3]







[絵唐津・片口小鉢]

5個1組の口径8.5cm、全高5cmの可愛い唐津草絵小鉢です。衒いの

ない絵柄と飾りの片口に妙味があって、好感が持てます。上釉が掛けら

れていない高台脇の素地に、「源」の一文字が彫られています。早い者

勝ちのネットオ−クションで、締切間際に見つけて、蒐集 出来ました。
[K-7=2018.7]








[絵唐津・草紋の小鉢]

最大口径11cm、全高7cm、使い勝手の良い草紋小鉢です。胴体の両面

に配置された滑らかな筆遣いによる草紋と、花弁状の口辺に描かれた幾

何紋の絶妙なバランスに興味を惹かれます。淡い灰褐色の上釉も気品が

あって、高台脇の素地に、「源」の一文字が彫られています。幸運にも、ネ

ットオ−クションの締切間際に目敏く見い出して、落札に漕ぎ着けました。
[K-10=2021.12]








[斑唐津・水指]

同じ唐津焼でありながら、上の絵唐津と対比して、造形・作風など全般

的に対照的な作品として選定し、掲載してみました。全高18cm、全幅

20cmの大きさで、蓋もしっかり閉まる 水指です。斑唐津だけに、灰褐

色の上釉の自然な流れと窯変が面白い。[ 蓋物のページ ]に載せた鉄

線花絵の水指と比較出来るのも、やきものコレクター冥利に尽きます。
[K-3=2017.7]








[朝鮮唐津の花瓶]

朝鮮唐津の花瓶であり、底面に「源」の一文字が、はっきりと押印されて

いましたので、ネットショップで購入しました。朝鮮唐津は、桃山時代の伝

世品から見られる、黒(鉄)釉と白(藁灰)釉をかけ分けた作風ですが、正

に この花瓶も、黒と白の美しいコントラストに魅了されます。全高と胴径

は、各々18cm,12cmで、落ち着いた佇まいが好ましい。共箱が無い

状態の古い作品なので、源右衛門唐津窯製品か否か確証がありません

が、私の独自の判断に基づいて、当コレクションに編入させて頂きます。
[K-11=2023.8]








[黄唐津・千筋の花瓶]

「黄唐津」とは、木灰釉や灰釉を素地に掛け酸化焔焼成して、素地

の中に含まれている鉄分により、枇杷色に発色した唐津焼を言いま

す。逆に、酸欠状態で器を焼く還元焔焼成を行うと、緑・青色系の「青

唐津」になると言われています。磁器でも、還元焔焼成を行って、呉

須や釉薬に含まれている酸化鉄から酸素を奪い、美しく発色させる

方法が 取られると聞いています。それはともかく、とても均整が 取

れた優美な形状 (高さ:16cm、胴径:12cm、口径:6cm)と、胴

側面の繊細な千筋彫りに施された、しっとりと風情のある穏やかな

上釉の発色に魅了されます。「源」銘は、胴体の下側部にしっかり

彫られています。 熾烈なネットオ−クションで、入手出来ました。
[K-8=2018.10]


還元焔焼成については、
源右衛門窯のHP を ご参照下さい。


2019.11.27 に放映されたNHKドラマ 「黄色い煉瓦」で、常滑焼

陶工・久田吉之助さんが、凡そ100年前に帝国ホテルの建築

設計家 フランク・ロイド・ライトさんから要求された、黄色の煉瓦

を完成させるために選んだ手法が、正に「酸化焔焼成」でした。









[絵&朝鮮 唐津・ぐい呑]

5個1組のぐい呑の共箱のタイトルは、「特撰ぐい呑」 です。その内3個は、

磁器 (染付・山水/唐草/葡萄紋)ですが、他2個は (絵&朝鮮)唐津です。

いずれも 口径5.2cm、全高5cmで、手に伝わる質感も真に素晴らしい。



源右衛門唐津窯の由来書の文中に「有田焼の白磁の美しさと対照的な素

朴な色調の唐津焼はこの両者の組み合せに又妙味があります。」とありま

すが、この「特撰ぐい呑」は 正にこの主旨を実現したものと言えるでしょう。

『特選ぐい呑』を蒐集出来た時は、単に所有した喜びを感受しただけでし

たが、よく考えれば、源右衛門窯が 古伊万里の精神を伝承し、現代に復

活すべく 志向を固めた、端境期の製品ですので、心して 愛蔵致したい。
[K-4 & 5,6B-51, 6C-32 & 33,=2016.12]



[特撰ぐい呑]



上記の「特撰ぐい呑」と同じ様な陶器と磁器を組合わせた、丸田正美さん

(1925〜1978)と源右衛門窯とのコラボ作品「風雅小瓶」を思いが

けずウェブサイトで拝見しました。斑唐津と染付牡丹絵の小花瓶の組合せ

でしたが、丸田さんと源右衛門さんは有田工業高校の先輩・後輩の間柄で

あり、お二人が意気投合されたのではないかと、勝手に拝察しています。



[風雅小瓶]







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[ 粗磁器 ]

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[粗磁器・唐草紋小壺]

口径6cm、胴径9cm、全高7cm、とても安定感があって、洗練された形

状の小壺です。その胴体面には、唐草の蔓は錆釉で、葉は緑釉で描か

れていて、素朴で活き活きとした気品があります。源右衛門窯の化粧箱

付で、ネットオ−クションを凌いで蒐集出来ました。陶器と見紛う作風で

したので、比較する意味でこのペ−ジに掲載しました。 添付説明書に

よれば、原石を砕くだけで全く手を加えない土で造り、1300℃の高温

で焼成し、初期伊万里風の地肌と色合いを、再現されたとのことです。

名窯の探究心や技術向上心が 如何に深いか、垣間見える逸品です。

銘は、高台内面に丸で囲まれた 「源」 の一文字が、彫られています。
[K-6=2017.11]


粗磁器について(説明書概要)

有田泉山の石を精白した美しい白磁は、ややもすると、冷たい感じを

与えることもあります。 ここにご紹介する粗磁器は原石を砕くだけで

全く手を加えていない、そのまゝの土で造り千三百度の高温度で焼

成されたものです。初期伊万里風の肌と色合をお楽しみ下さい。・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・源右衛門窯主




なお、磁石と陶土を混合して作陶する半磁器は、陶器と磁器の性質

を併せ持った器で、明治時代に萬古焼の産地で開発されて以来、全

国で作られています。 クリーム色の生地は釉薬と相性がよく、幅広

い色合いが出せて、陶器のような優しい風合いに仕上がり、強度も

磁器と同程度ですが、磁器とは違い、多少 吸水性があるようです。







[粗磁器・染付草花紋中皿]

昭和40年頃、六代源右衛門さんから御親戚の方に譲渡されたと言わ

れる小皿です。頑強な磁胎はざらついた淡褐色の表面で、粗磁器と思

われます。可憐な草花が清楚に描かれていて、好感が持てます。深さ

もあり、全高3.5cm/口径14.5cm の大きさは、とても使い易く重

宝しています。 ネットオークションで 目敏く見い出して、蒐集出来まし

た。 銘は、高台内に 「源」 の一文字が、滑らかに書かれています。
[K-7/7B-141=2017.11]













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